ニューマン投影式は2009年に東大化学第3問で出題された。
超難関大学を志望する場合は教科書範囲外の内容を聞かれることもある。
初見の問題にも対応できる読解力を身に付けてほしい。
制限時間50分。
知らなくても読めば解ける問題。
カプトンは2013年度東大化学第3問で出題されたことがある。
最終生成物であるカプトンを知らなくても解けるように、
アプローチを変えて問題を作った。
制限時間40分。
カプトン
次の文章を読み、下記の各問いに答えよ。構造式は図1、図2の例にならって示せ。
(構造式省略)
実験1.分子式C10H14で表される芳香族化合物Aに、硝酸を加え酸化すると化合物Bが生成した。化合物Bを加熱すると、分子内で脱水し化合物Cが生成した。化合物Cは分子式C10H2O6で表され、ベンゼン環に直接結合している水素原子1個を臭素原子に置換した化合物には、分子内に対称面が存在した。
実験2.クメン法により化合物Dを合成した。
実験3.ベンゼンと臭素を鉄触媒下で反応させると、化合物Eが生成した。
実験4.化合物Dの水酸化ナトリウム水溶液と化合物Eを銅触媒下で反応させると、分子式C12H10Oで表される化合物Fが生成した。
実験5.化合物Fに濃硫酸と濃硝酸を加えて加熱すると、2置換体である化合物Gが生成した。化合物Gのベンゼン環に直接結合している水素原子を臭素原子に置換した化合物には、2種類の異性体が存在した。化合物Gにスズと濃塩酸を加えて反応させたのち、濃アンモニア水溶液を加えると、化合物Hが生成した。
実験6.化合物Cと化合物Hを等モルずつ加え有機溶媒中で縮合重合させたところ、高分子化合物Iが生成した。高分子化合物Iを200 ℃以上に加熱すると、脱水と環化反応がおこり、高分子化合物Jが生成した。
高分子化合物Jのような構造を持つ化合物は芳香族ポリイミド繊維と呼ばれ、電気伝導性が優れており、主な用途として電子回路の絶縁材料として用いられる。また、きわめて軽量で強靭なため、JAXAが打ち上げた、宇宙ヨットIKAROSの太陽帆にも使用されている。
ポリイミドとは、単量体単位に図3のイミド結合を含む高分子の総称である。
(構造式省略)
問1.化合物Cの構造式を記せ。
問2.実験5で濃アンモニア水溶液を加えた理由を書け。
問3.化合物Hの構造式を記せ。
問4.高分子化合物Jの構造式を記せ。
なお、高分子化合物の構造式は図4の例にならって繰り返し単位を記すこと。
(構造式省略)